太陽と月の後継者
クロエは、自然と構えずに不思議とライトの言葉を飲み込んだ。
妖精族には、不思議な力があると感じたクロエだった。
『エミリアの姫って…みんなが言います。
それは、一体…』
「それは、クレア自身で確かめるべきだよ。」
クロエは、長い睫毛を伏せる。
「『ライトも私に内緒事をするんだ。』」
クロエは、はっとしてビオラを見る。
ビオラもさっき同じ気持ちだったんだとクロエは思う。
『ビオラ達は心が読めるんだね。』
「なにも、おかしい事じゃないさ。
精霊の声だって聞こえるのだから。
…さぁ、地には貴女を待っている人たちがいる。行っておやりなさい。」
ライトに背を押されて振り返ると、
もうそこに屋敷は無かった。
目の前を見ると、いつもの寮の部屋だ。
『妖精族…不思議な人達。』
クロエは、白金の髪を櫛でとぐと
眼帯を付け、制服を着て部屋を出た。
そしてまたまた不思議なことに、
いつの間にか約2週間が経っていて
クロエが学校に通う時期になっている。
『夢…じゃないか。』
そう言って教室に入ると、みんなの声が聞こえた。
「クレアー!!!」
「ばかっ、心配したのよ。」
「治療魔法でも治らないってどんな怪我したんだ…?」
リオとビアンカとヨウテスが話しかけてくる。
『久しぶりっ
ごめんね、心配かけちゃって…。』
「お帰り」
ルカがそう言うと、皆が笑った。
「なーんかクレア、いきなり大人っぽくなった?」
レイが話しかけてくる。
『そうでもないよ。
ね、今度レイの家に行きたいなー。』
あくまで自然にクロエは賭けに出た。
レイが反応する。
「?なんでだ?」
『もっと皆のことが知りたいって思って。』
レイが一瞬笑ったのを見逃さなかった。
「いいぜ!何も無いけど、今週末にみんな来いよ。」
その言葉にクロエも心の中で笑った。
「俺はパ…」
「「ルカも一緒だ/よ。」」
ルカの声を遮り
ヨウテスとリオが引き止める。