りんごのほっぺ



「あぁ?何で見ちゃいけねえんだよ。人がせっかく心配してやってんのに」

「…っ、な、んでって、何でもです!嫌なんです!心配ご無用です!」

「意味わかんねえんだけど」

「だって、だって、だってぇ…!っき、気持ち悪いから!」



黄緑 緑って名前なのに、シュレックなのに、緑色にならなくてすいません!期待に答えられなくて、赤くなって、すいません!

本当、気持ち悪くてすいませ……



────グイッ!!



「…っあ、」

「別に気持ち悪くなんかないだろ。林檎みたいで美味そうだぞ」



那智さんは顔を覆っていた手を無理矢理剥ぎ取ると、私の赤色を覗き込むようにして言った。



”林檎みたいで美味そう”



頭の中で繰り返される甘い響き。

………──そんな事、初めて、言われた。



「…り、んご、」



半べそでそう言えば、那智さんは真率な顔で頷いた。



「ああ、熟してて美味そうだ。後、具合悪くないならそれでいい」



美味そう。この言葉をどう受け取って良いのか分からないけれど、那智さんは私のこの赤い顔を気持ち悪くないと思っているのだろうか?

シュレックの私が林檎なんて可愛いものになっても良いのだろうか?
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