りんごのほっぺ



驚きと嬉しさが心の中で鳥栖を巻く。口をぽっかり開けて固まっていた。



「っあ、麟ちゃんみっけ!おっはようー!」



後ろから那智さんを呼ぶ声がして、すぐに。バタバタとこちらに駆け寄って来る足音が聞こえた。



そうして、ひょっこり、目の前に現れた男の子。



170㎝くらいの小柄な身長に、まあるい二重の目と、雪のような白い肌に、ふわふわでもくもくとしたミルキーベージュ色の髪の毛。

長い前髪を苺のピン留めで可愛く留めていた。

那智さんと同じく制服を着崩していて、どことなく甘ぁいバニラの匂いがした。

流行りのわんこ系男子というか、可愛い系男子というか、そんな感じの男の子だった。



「チッカおはよう」

「もぉ来るの遅いよー麟ちゃん」

「すまんな寝坊しちまった」

「コンパス借してもらえないってキュウちゃんプンプンだったよ。落ち着かせるの大変だったんだからぁ」

「だろうな。だから今こうやって謝りに来たんだよ」



可愛い男の子はチッカと言うらしい。そして那智さんの謝りたかった事はコンパスを友人に貸し忘れた事だったらしい。


なるほど。たかがコンパスごときの為に私は案内役に命じたという訳か。


めっちゃくだらない理由じゃん!謝るの明日でもいーじゃん!てかそんなのメールで言えばいーじゃん!
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