りんごのほっぺ

第3話 3つの願い




────・・・「昨日まじでびびったよなー」「まさか那智 麟之助が特進に迷い込んでくるとは」「あたし怖すぎてちょっと泣きそうになったー」「見るからに馬鹿そうだったな」「3年G組は落ちこぼれクラスだからね」「でも那智先輩ってすごい強いんでしょ?」「そうそうここらじゃ有名な悪の一味でさぁ」「あの白燐に1人で乗り込んでトップを堕としたらしいぜ」「まじ!?」「那智 麟之助超こえー」



「まあ、なにはともわれ波切とシュレックまじドンマイだわー」




──次の日。学校に行けば。ヤンキー那智さんの話題で持ち切りになっていた。



朝から元気にギャアギャア耳障りな声を出して楽しそうに騒ぎ立てている。



それをぼんやりと聞きながら青い青い空を仰いでいた。



クラスメイト達の話で今日初めて知ったけれど、やっぱり那智さんはここらで有名な暴君らしい。

なんたって地元で恐れられている不良高校”白燐”を1人で乗り込んでぶっ潰したそうで。



見た目も充分ヤバイければ中身もそれを上回るくらいヤバかった。

那智さんは期待を裏切らない分かりやすい人間だ。



それに比べて私ときたら…、名前に黄色と緑色が入っていながら赤面症という奇妙な特徴を持ち合わせていて。

赤色になれば、おい!何で緑色にならないんだよ!と虐められる人生だった。



これで何色にも染まらなければこんな悲惨な名前弄りも無かったというのに…。

可哀想な黄緑 緑…。
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