りんごのほっぺ
キン肉マンに圧倒されていると那智さんは私の頭をわしゃわしゃとさせて自慢気に言った。
「俺”の”林檎ちゃんだ!」
…俺”の”?その発言に一瞬だけ違和感を覚えたけれど、特に意味は無いんだろうとそっと心にしまいこむ。
ていうか何で自慢気なの?
「へえ、林檎ちゃんね。どーも、初めまして。俺は九十九 朝陽(つくも あさひ)。親しみを込めてキュウちゃんって呼んでくれ。宜しくな」
「…は、はあ、キュウ、ちゃん?」
「そうそう。九十九の九を取ってキュウだ。そのまんまだな!がははは!」
楽しそうにガハガハ笑うキュウちゃん。と、呼んでも良いのだろうか?
でもキュウ”さん”だとなんだか時代劇の人みたいで変だし…、ま、いっか。
って、名前!私の本当の名前を言えてない!
「っあの、わ、私は、黄緑ろ、」
「単刀直入に言おう!実はお前達に協力して欲しい事があるんだ!」
………い、言えなかった。
ていうか那智さんの馬鹿でかい声で掻き消された。
何してくれてんだ那智さん!そろそろ私の本名を言わせてくれよおおおお!
「協力して欲しい事?それって面白い?」
「ああ、すっげえ面白いぞ」
水渡さんの質問に那智さんが満面の笑みで答えた。嘘だ!全然面白くないじゃん!何言ってんの那智さん…!話盛るのやめてよ!
もう滅茶苦茶だ。