りんごのほっぺ
episode 《3》

第6話 作戦会議 part ①




──・・・•美術室準備室の中は、どこぞのリゾートホテルかを匂わせるような、リッチで快適な空間が演出されていた。



清潔感あふれる白を基調としたインテリア。
(え?何で学校にインテリア?)

機能性の優れたシステムキッチン。
(え?何で学校にキッチン?)

天窓のつけられたキングサイズの高級シルクベッド。
(え?何で学校にベッド?)



ここで一生を暮らせるんじゃないかってくらい充分な機能と設備が搭載されていた。ていうか贅沢なくらい。

もうそこはただの”教室”ではなくて、豪華な”家”だった。



恐らく54インチ型であろうテレビの前にある、王様が座るようなソファに腰かけた。…ふ、ふかふかだあ。



「驚いた?」



キョロキョロと室内を詮索しているとチッカさんが顔を覗き込んできた。ふんわり、甘ったるいバニラの香りが鼻をかすめる。



「…っ、は、はい、夢の国の王室みたいですね」

「夢の国?ふふ、林檎ちゃんは可愛い事いうね。ここはねぇ、まどちんのぱぱちんの”コレ”のおかげで出来てんだよ!」



コレ、といって、両の手の人差し指と親指で丸を作って、そこからくりくりの可愛らしいおめめを覗かせる。

恐らくコレとはお金の事だろう。

どうやらまどちんのぱぱちんはお金持ちらしい。



「ちなみにねお風呂もあるんだよー」

「お、お風呂!?」

「しかもジャグジーつき」

「ジャグジー!?」

「あはは!良い反応!体育で汗かいた時とか使っちゃって良いからね」



可愛らしくチッカさんは笑った。

そんな体育でかいた汗如きでジャグジーつきのお風呂なんて恐れ多くて入れません。

とにかくここのアジトがとんでもなく豪華でリッチな事がよく分かった。後、水渡さんがお金持ちな事も。
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