りんごのほっぺ
「そうだよ!麟ちゃんの言う通り!林檎ちゃんは林檎ちゃんであって林檎ちゃんでしかないのになんて酷い事を言うんだ!そんなばい菌ヤロー俺がけっちょんけっちょんのぎったんぎったんにしてやる!」
チッカさんも全身全霊で怒りを露わにしていた。シュッシュッと空中に猫のようなパンチをかます。
「なるほどねぇ。それは同じ男として許せねえ発言だな。幼稚園児とは言えレディーに向かって芋虫はNGで、」
「ちなみに高校ではシュレックって呼ばれてます」
「シュレックゥ!?なんだってぇ?それってまさかあの緑の怪物の事か?」
キュウちゃんが目を丸くして驚く。
芋虫もシュレックも同じくらい酷い称号だと私は思っている。いや、芋虫の方が少しばかりパンチがきついか。
そうですあのシュッレクです、と答えると、オーマイガー!と派手なリアクションが返ってきた。
「まだモンスターズインクのマイクの方が可愛げありますよね…ははは、」
あー、確かに。声を揃えて、うんうん頷く那智軍団。
だってシュレックだもんね。シュレック。怖い、汚い、臭いと言われているあの緑の怪物。心は優しいのに。ハリーポッターに出てくるトロールをぎゅっと凝縮した感じのやつ。鼻くそみたいなやつ。
見た目が、ねえ?駄目だよね。だって、だって!だって私、女の子なんだもの…!
「今のを聞いて益々ピーチ姫を救う気力がムラムラ湧いてきたぜ」
「ピーチ姫?ちょっとなんでそこにマリオが出てくる訳?」
「だってシュレックに出てくる姫さんの名前はピーチだろうが。って、林檎ちゃんだからピーチ姫じゃなくてアップル姫か!」
「はあ?麟之助さ、適当言うのやめなよ」
「なぬぃ?俺はいつだって真剣だぞ」
「はいはいはい。わかったわかった顔近い顔近い席戻ってシットダウン」
ガルガル那智さんを水渡さんが犬を制するみたいに嗜める。ていうか私はピーチ姫よりもムラムラの方が気になったんだけれど…。