りんごのほっぺ



侵入者は額に汗を滲ませ、苦しそうに息をしていた。


走ってきたという事が一目で分かる。しかも全速力で。


そしてこの登場の仕方もさることながら、その見た目にも驚いた。



目の覚めるようなキラキラとした金髪に、両耳に痛々しい程のピアス、ジャラジャラのネックレスやドクロの指輪や金色のバングル。

着崩された制服は最早制服の意味をなしていなくて。

顔は狼のような細い釣り目に、高い鷲鼻と、鮫のような大きな口。体型は180㎝は優に超えるくらいの大男だった。



─────・・・ていうか、どちらさま?確実にうちのクラスメイトでは無かった。



「ああ?何だお前ら見ねえ顔だな」



侵入者は近くにいた波切(なきり)君にメンチを切る。波切君は今にも泣きそうな顔で悲鳴を上げた。



「…っこ、ここは2年B組のクラスですぅ!」

「2年、だと?」



目が潰れるんじゃないかってくらい顔を顰めて私達の顔を一人一人見ていった。


恐らく状況を察するに教室を間違って入ってきたらしい。


そして先輩?なのだろう。ちなみにヤンキー。クラスメイト達が恐怖で言葉を失っていた。



「…ッチ、相変わらずわかりずれえ構造のクソ高校だな」



自分が間違って教室に入ってきた癖に学校の構造のせいにし出した。滅茶苦茶である。
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