りんごのほっぺ
「ちょっと麟之助あんまり林檎ちゃん虐めるのやめなよ。林檎ちゃんの顔また信号機みたいになってるから」
本当良い所で助け舟を出してくれるぜ水渡さん。心の天使と呼ばせて頂きたい。でも信号機って若干悪口だよね…。
鼻水を垂らしながら安堵の表情を浮かべて水渡さんを見つめる。
那智さんは水渡さんの言葉が癇に障ったのか、あ゛あ゛?と食ってかかっていた。
「虐めてねえし可愛がってんだよ」
「あぁ、そう。可愛がり方が斬新だね」
「あたりめえだ。俺は新人類と呼ばれた男だぞ」
「その新人類に可愛がられてる林檎ちゃん可哀想アーメン」
「はあ?最高エクスタシーの間違いだろう?」
二人のやり取りのおかげで、ほんの少しの間だけれど時間稼ぎが出来ていた。
この間に一旦落ち着こう。深呼吸だ。すーはーすーはー。吸って吐いて吸って吐いて。
………よし。ちょっと楽になったぞ。
少なくとも信号機の呪縛からは逃れる。
徐々に通常の肌色に戻っていった。
「まあ林檎ちゃんにトップバッターを飾らせんのは少々ぶっ飛ばしすぎだよなー。チッカが最初に歌えば?」
「えっ!?俺トップバッターやってもいいの?やるやるぅー!トップバッターかっこよく飾るー!」
ここでカラオケという地獄の提案をしてきたキュウちゃんがナイスフォローを入れてくれた。
チッカさんはトップバッターを快く引き受けるとるんるんしながら電子目次録で曲を探し始める。
………た、たすか、った。のかな?一先ずは。うん。
ぐったりと椅子に項垂れた。