悪魔の封印を解いちゃったので、クールな幼なじみと同居します!
「あんたじゃねえ、リドだ!オレの名前はリドだっつっただろうが。むしろリド様と敬称を付けて呼べ。ほんと物覚え悪すぎだろ、このアホが」


「は?あたしはアホじゃいし、アホって言うな! ってか『リド様』なんて敬称付きで呼ばせるとか、あんた正気?おまけに、悪魔とか、契約とか、ほんと何言ってんの?あんたネコでしょ?」


「いや、何言ってんのか分かんねえのはお前の方だよ」


あほか、と猫にまで馬鹿にされる。

小ばかにするようなものじゃなくて、憐れむようにも聞こえるから余計に腹が立つ。


ああ、これは幻聴だろうか、それとも夢だろうか。夢であってほしいと思うけど、猫にまで馬鹿にされる夢なんて嫌だ。


「オレは悪魔だっつってんだろ。大体、普通の猫がしゃべったり人間に危害を加えたりしていたらさすがに驚くだろ。なんでお前、混乱しねぇの?つーか、なんでそんな猫を見て普通の猫だって思うわけ?
お前、本当にアホなんだな」

「うっさいな!アホじゃないって言ってるじゃん!」

「それより佐奈は分かってんのか?」


猫、改めリドは絶望的なことを言ってくれた。


「あんた、たった今、悪魔と契約してオレ様のしもべになったんだぞ?」


あたしは目を見開いて、それから睨み付けた。


リドに対して何か言おうとしたけど、その前に朔兄があたしの隣にきて「佐奈ちゃん、はやくうちに行こう」と言った。

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