悪魔の封印を解いちゃったので、クールな幼なじみと同居します!
学校、来ちゃいました。
「佐奈、起きて。佐奈」

「んー…」


翌朝、目覚ましの代わりに声が聞こえた。

穏やかな、落ち着いた声。


「佐奈、ほんとに遅刻するってば。佐奈、佐奈」


何度も何度も名前を呼ぶ声が、寝ぼけた頭に響く。


「この声…アキ?」

「そうだよ。おはよう」

「そっか。アキか…え、アキ!?」


寝ぼけた頭が一気に覚醒する。

ガバッと起き上がると、アキが「おはよう」と言った。


「アキ、昨日どこ行ってたの?帰ってこなかったじゃん!」


あたしがまくし立てる様に問い詰めると「帰ってはきたよ」と言った。


「帰ってはきたけど、その時にはもう佐奈は寝てたよ」

「…何時に帰ってきたの?」

「忘れた」


あっけらかんと答える。悪びれもせず、事実を述べる。

そういうところがアキらしくて頬が緩む。


「じゃあ、『おかえりなさい』だね」


昨日は言えなかったから、その代わりに。


アキは少し驚いたような顔をしたけど「うん、ただいま」と微笑んでくれた。


「だけど、もう『行ってきます』の時間だね」

「え?」
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