悪魔の封印を解いちゃったので、クールな幼なじみと同居します!
時計を見ると、確かにもう家を出なければならない時間だ。このままじゃ遅刻してしまう。


「うっそ!」


血の気が引いていくあたしをよそに、アキは「先に行くね」と部屋を出ていく。確かにアキは制服を着て準備はばっちりだ。


「ちょっ、待ってよ、アキ!」


だけどアキの背中は遠ざかっていく。

バタバタと準備をして、あたしは必死にアキに追いついた。


「あ、佐奈。早かったね」

「ひ、必死に準備を済ませたからね」


あれは慌ただしかった。非常に慌ただしかった。

ドタバタ、ドタバタ、家の中を走り回っていた。

憧れの優雅な朝が訪れる日が来るだろうか、いや、それこそ夢のまた夢というやつだ。


「それより、あいつはどこに行った?」

「あいつ?」

「ほら、あのむかつく悪魔」


ああ、リドのことか。


「そういえば、リドの姿見てないね」


昨日の夜は確かに一緒にいたけど、今日の朝からリドはどこにもいない。


「あいつ、最近姿を現したり消したりできるようになったんだよね」


ほんとむかつく、とアキは眉間のしわを深くした。
< 107 / 243 >

この作品をシェア

pagetop