悪魔の封印を解いちゃったので、クールな幼なじみと同居します!
契約、しちゃいました。
朔兄の家の前であたしは足を止めた。
そんなあたしを朔兄は不思議に思って尋ねる。
「ん、どうしたの?」
「やっぱ、朔兄の家に来るとちょっと緊張するね。なんていうか、こう、気持ちがしゃんとするというか」
神妙な顔でそういえば、朔兄は笑ってあたしの頭をポンポンとなでつけた。
それから門を開けて中に入っていく。
「あは。でも佐奈ちゃんは数えきれないくらいうちに来てるでしょ」
「それはそうだけど」
朔兄の後を追うように、あたしも門をくぐった。
「まあ、佐奈ちゃんの気持ちも分かるけどね」
朔兄の家の敷地は広大だ。
門をくぐってから玄関までは少し距離がある。
「やっぱ、すごいわ」
立派な日本家屋に、手入れの行き届いた日本庭園。
うちのような平凡一般家庭の近所にこんなすごい家があるなんて信じられないくらいに素敵なおうちだ。
「…こんなところに連れてきやがって」
リドは不服そうに朔兄を睨みつけた。
すると朔兄は足を止めると振り返った。
「うちの大事な佐奈ちゃんにあんなことをしやがって」
朔兄は普段めったに見せないような冷徹な顔でそう言い放った。
その声は低くて、温度がなくて、怖くて。
その視線で凍り付きそうなくらい鋭くて、まるで射られたような感覚がした。
リドだけじゃなくあたしまで目を見開いて固まった。
「…って、俺は言いたいんだけどね」
にこっと笑ったのに、朔兄が怖くてあたしは恐怖で心臓の鼓動が速くなった。