悪魔の封印を解いちゃったので、クールな幼なじみと同居します!
「…お前も気づいたか」

焦るあたしとは対照的にリドは落ち着いていた。怖いくらい、冷静だった。

「気づいというか、なんかよく分からないけど、だけどすごく嫌な感じがする…!」

「嫌な感じ?」

「なんだか、まるで…」


まるで、『誰か』が意図的に引き起こしているような。


そう言いかけた時、ついに異変は起こった。

上ろうとしていた階段の上段から、一段一段、ガタンガタンと大きな音をたてて次々に階段がなくなっていく。

それはまるで大きな崖ができるみたいだった。

2階から3階に上る間にある踊り場を残して、上へと続く段差は消えて取り残される。

リドの声であたし達は踊り場に移動した。


「なにこれ…」


再び起こった怪奇現象。

ああ、どうしようもなく、あたしは巻き込まれ体質だ。


「悲観してる場合じゃねえよ」

リドは声を張った。


「こういうときこそ心強くいるんだよ。じゃねえと敵の思うつぼだぞ」


さすが悪魔。まるで元犯罪者の人から防犯術を習っているようだ。

相手の心理をも的確に把握してなされるアドバイスは、巻き込まれ体質のあたしには今後にいかせる実用的なものだった。

いや、ちょっと待って。


「敵って…?」


リドの言葉を疑問に思って尋ねようとした時、声が響いた。


『小娘が』

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