悪魔の封印を解いちゃったので、クールな幼なじみと同居します!
まるでお風呂場で響くような、ぼんわりと響きを含んだ声。それは性別も年齢もさっぱり検討がつかない。

どこの誰かは知らないが、「小娘が」というたったそれだけの言葉にたくさんの悪意と憎悪が込められていることだけは分かった。


「あ…あたしに何の用なの!」


つい、その声に反応してしまった。

隣でリドが「バカ!」と小さな声で諌める。

「こういうときは反応しちゃだめだろ!お前だって今まで散々巻き込まれて分かってんだろ馬鹿が!」

「しょ、しょうがないじゃん!」

つい、反射的に反応してしまったんだから。そりゃ大してよく考えもしなかったのは失敗したと分かってるけど。

言い訳を並べたところで何かおかしいことに気づき、あたしは首を傾げた。

怪奇現象が起こった時、あたしはなぜか前からずっと知っている『嫌な感じ』がした。

そしてリドのアドバイスがとても実用的だと思った。

『お前だって今まで散々巻き込まれて分かってんだろ!』というリドの言葉。

胸の中をつかえている考えがちょっとずつ集まって形をなしていく。

そして巡り巡った思考はある答えを導きだした。


「ちょっと待って。まさか、これの正体って…」

「ご名答」

佐奈のくせによく分かったな、と軽口を叩かれるが何も言い返す気になれない。

巻き込まれ体質な上、嫌だなと思ったことは大体当たる。


「『そーゆーの』の類いだな」


今日だって、それは変わらない。

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