悪魔の封印を解いちゃったので、クールな幼なじみと同居します!
「ただいまー」
ガラガラと朔兄が玄関を引いて開けると、「おかえりー」という声が返ってきた。
バタバタと音が近づくと、それは朔兄のお母さんのものだった。
「あら、佐奈ちゃんじゃない!いらっしゃい!
それにしても朔、どうしたの?今日は志保ちゃんとタイムカプセルを掘り起こすんじゃなかったの?」
朔兄のお母さんはハイテンションで次々に質問を飛ばしていく。おかげであいさつする時間さえ見つけられなかった。
「ああ、今日のところは中止になったんだ」
それは残念ね、とおばさんは眉を下げた。
するとおばさんはあたしの胸に抱え込んだリドを見つけたようで「あら」と明るい声をした。
「かわいい猫ちゃんね!拾ったの?性別は?男の子?女の子?」
「あはは…まあ、そんなところ?性別はたぶん、男の子かな?」
あたしがしどろもどろで答えると、朔兄が「そのことなんだけどね」と切り出した。
「母さん、晃は部屋かな?今すぐ呼んでほしいんだけど」
「その必要ないよ」
視線を玄関の向こう側に移すと、そこには朔兄の弟、あたしと同学年で幼なじみの東條晃(あきら)がいた。
「アキ!」
「ん」
アキこと東條晃は袴姿で、短い黒髪の頭を掻きながら、不機嫌な顔であたしを指さして「あれのことでしょ」と言った。
「修行してる最中でも分かった」
はあ、とアキはため息を吐いた。
「え、あたし?」
あたしは自分を指さすと、アキは「佐奈と、その猫」と溜息を吐きながら言った。