悪魔の封印を解いちゃったので、クールな幼なじみと同居します!
「ど、どうにかするって」

「まあ、見てな」

リドは右手を3階の方に向けると、ドン、と撃った。

何を撃ったのかは分からなかったけど、恐らくは魔力の塊のようなものだろう。


『何故』


響く声はいきなりのリドの攻撃に戸惑っているようだ。


「何故って?」

リドは腕を下ろさず、上を睨み付けながらニヒルに笑った。笑ったけど目は笑っていない。恐怖で背筋がぞくりとした。リドは今はあたしの見方のはずなのに。


「佐奈はオレと契約を交わした。つまりはオレのものだ。自分のものを傷つけられて怒らないわけがねえだろ」


そのくらい理解しろ、と言いながらまた魔力の塊をぶつける。

それからあたしの方を見て少し眉を潜めた。


「お前何不服そうな顔してるんだよ。

お前、オレのだろ?」


「そ、れは」

違う、と否定しようとしたときだった。


『何故、このような事態に。

ああ、全て、こいつのせいで』


怨念も殺意も全ての負の感情を込めたような鋭い視線があたしに向けられている。


『お前さえ、お前さえいなければ』


こんなことにはならなかったのに。

呟くような、嘆くような声が聞こえたのと同時に風があたしの頬を撫でた。

漂う、嫌な感じ。


「佐奈!」


攻撃が来る、と直感で分かったのと同時に聞こえたリドの怒鳴るような声。それがあたしに危険を伝えるためだったと分かったのは、庇うようにリドがあたしを抱き締めて、攻撃の後が鋭く壁に刻まれた後だった。
< 130 / 243 >

この作品をシェア

pagetop