悪魔の封印を解いちゃったので、クールな幼なじみと同居します!
「あ、いや、なんでもない!」

何かあるなら教えて、と不安そうに田辺くんが言うから、久々に脳を使ったから疲れただけだよ、なんて笑って見せた。

「確かに、佐奈ならありえるね」

「アキ!」

納得した、というような表情をするアキを睨みつける。

本当は、脳が疲れたせいじゃない。

理解が追い付いていないだけだ。

リドが本当に山火事を起こしたなんて。そのせいで人々が食べるものに困ったなんて。そのために封印されてしまったなんて。


「つ、次は何を調べるの?」

暗くなる思考を停止させようと、あたしは話題を振った。

そうだね、と田辺くんは資料を見つめるとすぐに顔を上げた。

「ここまでが事実だとするなら、その悪魔がなぜ引き起こしたのかということや、なぜ封印された場所が小学校だったのかということが気になるね」

美晴もアキも相槌を打った。

「なぜ引き起こしたのかということについては、もう少し資料を探せば書いてあるかしら」

「もしこの図書館になかったとしたら、天宮町立図書館や県立図書館に掛け合ってみよう」

「そうね。じゃあ図書館の電話番号を調べておくわ」

「図書館の司書の先生に聞けばすぐ分かると思うよ。開館時間や閉館時間も教えてくれるはず」

田辺くんと美晴は成績優秀者同士ということもあって話が合うらしい。次々と展開される話はとてもあたしにはついていけなかった。


「なぜ封印されたのかってことは俺が調べるよ」


アキが名乗りを上げる。


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