悪魔の封印を解いちゃったので、クールな幼なじみと同居します!
驚いた、あの無気力がここまでやる気を見せるなんて。

自分から名乗りをあげるなんて。


「佐奈、今すごく失礼なことを考えたね」


ちろりと睨まれたけどあたあしは首を横に振った。

アキの周りの温度がキンと下がったように感じた。怖いったらない。


「じゃあもう一度その線で探してみようか」

田辺くんの言葉にみんなが頷いた時、閉館時間を告げるアナウンスが館内に響き渡った。


「時間切れね」

美晴が吐き出すように呟いた言葉に、田辺くんが頷いた。

「仕方がないね、今日はここまでにしよう」


それからは資料を慌ただしく片付けて、どうにか閉館時間までには図書館の外へ出ることができた。

授業だけでなくまた放課後にも集まろう、と言い合ってそれぞれ分かれた。


途中まではみんな同じ方向だったけど、最初に田辺くん、それから美晴と道で手を振りあって別れて、結局アキと2人になった。

そりゃ同じ場所に住んでいるんだ、仕方がないことだけれど。


「それにしても珍しいね」

あたしがそういうと「何が」とアキは問うた。


「アキが自分から調べるって言ったこと」


びっくりしたよ、とあたしが言うとアキはふんとそっぽを向いた。

驚きだった。

あの無気力なアキが、自分から調べると言い出すなんて。

きっと朔兄が聞いても驚くだろう。

明日は雪が降るかもしれない。

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