悪魔の封印を解いちゃったので、クールな幼なじみと同居します!
「なーにお前殺気立ってんだよ?」

「うるさい」

食事中にしゃべるなと一喝して、アキは黙々と食べた。


「アキ…」


名前を呼ぶけど、アキはあたしの方を見なかった。

聞こえているはずなのに、聞こえていないような反応。

なんで、そんな反応をするの。

寂しいじゃん。悲しいじゃん。


「ご馳走様」

アキは一人で食べ終わると自分の使った食器を持って台所に向かった。

ガチャガチャと食器がぶつかる音と、蛇口を捻って水が出てくる音が聞こえてくる。

2人残された食卓で、リドが「あいつ、どうした?」と小声であたしに聞いてきた。

「本当に気が立っているな」

おー怖。

リドは他人事のようにそう言ってスプーンでまた掬っては口元に運ぶ。

あたしは何も答えずにカレーを食べる。


アキ、あんたは今何を抱えてるの。何を悩んでいるの。

教えてよ、バカなあたしにも分かるように。

何か解決することはできないかもしれないけど、話を聞くことならできるよ、一緒に考えることならできるよ。

だから教えてよ、一人で悩まないでよ。苦しまないでよ。

心の中で強く強く願う。

だけど口にはできない。

アキの拒絶の言葉が、すごく怖いから。

自分でも呆れるくらい、あたしは弱い。
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