悪魔の封印を解いちゃったので、クールな幼なじみと同居します!
「ごちそうさま」

黙々と食べて、食器が空っぽになったところで手を合わせてそう呟くと同時に立ち上がった。

「え、佐奈も終わったのかよ?」

リドがあからさまに焦ったような顔をする。

「自分で食器片付けるんだよ」

皿割ったりしないでね、と念を押してあたしも自分の皿を洗いに台所に向かった。

台所に着くとアキの姿はどこにもなかった。

洗い物も終わったようで、洗われてきれいになった食器が食器かごに置かれていた。食器からは透明な雫がぽたり、ぽたりと落ちている。

蛇口を捻って水を出す。思っていたより水は冷たかった。

「アキ…」

食器を洗いながら、アキに思いを馳せる。


…アキ、あたしは甘かったね。弱かったね。

こんな自分を、変えなきゃいけないよね。


よし、覚悟を決めてアキに話そう。いや、話をしなきゃいけない。

拒絶の言葉を恐れている場合じゃない。

どんな言葉をかけられたとしても、アキが苦しんでいることに違いはない。

それに、アキが1人で抱え込む癖があることを知ってる。

どうにかできるのは、幼なじみのあたししかいないのに。


そうだよ、立ち上がってこそ、行動を起こしてこその最上佐奈だ。

それなのにまだ起きてもないことを恐れて、くよくよと悩んで行動を起こせないでいるなんて、あたしらしくない。


「よし!」

食器を洗い終わったところで、あたしはアキを探し始めた。
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