悪魔の封印を解いちゃったので、クールな幼なじみと同居します!
それからリビング、洗面台、トイレ、寝室を探して回ったけど、どこにもアキの姿は見られなかった。

「リド!」

台所で洗い物をしていたリドに声をかける。

「アキを見かけなかった?」

「あいつ?見なかったけど。どうかしたのか?」

「アキがどこにもいないの!」

この離れはどこまで大きくはない。そこら辺のアパートと大体同じくらいの大きさだ。

だから探す場所なんてほとんどないし、アキの姿が見つからないのは変な話だ。

「アキ、どこにいったんだろう…」

するとリドは「さーね」と言った。まるでどうでもいいとでも言っているような口調だった。

「どうせ母屋の方にでも行ったんじゃねえの?」

「母屋…?」

「ほら、今までもあいつ何回か母屋に行ってるし」

心配ねえよ、とリドは笑った。

「あいつがお前を見捨てるようなことは絶対ねえから」

むかつくけど、と言ったリドの言葉が心にじわりと染みていく。

「どうせもう少ししたら戻ってくる。あいつが佐奈とオレが一緒にいることを許すわけねえし。むかつくけど」

「相当嫌いだね、アキのこと」

「そりゃあ、オレに立てつくからな。無礼にもほどがある」

はいはい、とリドの言葉を無視する。

< 153 / 243 >

この作品をシェア

pagetop