悪魔の封印を解いちゃったので、クールな幼なじみと同居します!
「あれ、アキは…?」

あたりを見渡すけどアキの姿はどこにもいない。

「さ、まずは朝ごはんを食べようか」

佐奈ちゃんお分さっき台所借りてつくったんだ、と朔兄は穏やかに笑う。

あたしの疑問は完全無視だ。

「朔兄!」

「分かってる。ちゃんと話すよ」と朔兄は言った。


「佐奈ちゃんも聞きたいことがあるでしょう?」


あたしは頷くと顔を洗って着替えを済ませた。

食卓には湯気が立ち上るお味噌汁とごはん、目玉焼きとウィンナー、サラダがあった。食後のデザートとしてうさぎのりんごまで用意してある。

完璧な朝食に絶句していると「どうしたの?」と朔兄は首を傾げた。

「嫌いなものでもあった?」

「いや、好きなものばかりだよ。なんでもない」

朔兄は完璧か、と心の中でつっこんで、朔兄が座る席の向かいに座った。

「いただきます」

合掌。

朔兄は「どうぞ」とにこやかに笑った。

「朔兄ありがとう」

「簡単なものしか作れなかったけどね」

「朝からこんなに完璧な朝食を作っちゃう朔兄に驚きが隠せないよ、あたしは」

佐奈ちゃんは大袈裟だね、なんて朔兄は笑うが大袈裟でもお世辞でもない。

朔兄の作ってくれたご飯はどれも美味しい。特にお味噌汁なんて絶品だ。ぜひ作り方を教わりたい。

「お姉ちゃんも苦労するなあ…」

こんなに美味しいご飯を作れる人のお嫁さんになったら、料理を相当頑張らなきゃいけない。

「ん?何か言った?」

「ううん、何も」

あたしは笑って誤魔化した。

朔兄とお姉ちゃんはどこからどう見ても両想いなのに未だに付き合っていないのだから驚きだ。
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