悪魔の封印を解いちゃったので、クールな幼なじみと同居します!
「あ、なんでも__」

「なにもない」

あたしが言い切るより前に、あたしにかぶせるように、アキはそう言い切った。

きっぱりとした言葉はいつもより冷たく感じた。

辛うじて張り付けていた笑顔が、あげていた口角が、どんどんさがってゆく。


「なにもないから。だから、早く続きをしよう」


今朝のやり取りも、あたしの気持ちも、アキの謝罪の意味さえも、アキは黒で塗りつぶす。

塗りつぶして、すべての責任を自分で背負い込んで、自分一人で傷ついて苦しむ。

いつもそうやって繰り返して、周りで見てるあたし達の気持ちなんて知ろうともしない。

アキはとても傲慢だ。


「なんで…」

気がつけば声が溢れていた。


「なんで、そんなふうに言うの?

どうしていつもあんたはそう!」


ほとんど叫んでいた。

「ちょ、ちょっと、佐奈!」と美晴が慌てる。

きっと落ち着け、と言われているのだろう。ここは図書館だから、と。

「でも!」



「最上さん」


機会みたいに凛とした声が響く。


「図書館ではお静かに」


気が付いたら隣には図書館司書の先生がいた。

笑顔でこそあるが、その言葉の端々は氷のように冷たかった。

「…すいません」

ごうごうと煮え立つ感情を押さえつけて蓋をする。

「佐奈…」

心配そうな顔をする美晴と田辺くんが視界に映る。

「あ…ごめん」

続き、しよっか。

あたしが呟くようにそう言うと、田辺くんと美晴は顔を見合わせて「そうだね」と遠慮がちに頷くと調べた資料をファイルから取り出す。

アキはその間そっぽを向いていた。
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