悪魔の封印を解いちゃったので、クールな幼なじみと同居します!
やがて煙が空気に馴染んで消えると、ようやく状況が分かった。

ファルは左手を怪我したのか右手で左手を抑え庇っている。息も荒い。

リドはそんなファルをまっすぐ見つめていた。


「な、ぜです、リド様…」

信じられない、と言わんばかりに悲痛な顔をするファルに、リドは「ふん」と鼻を鳴らした。


「お前だってオレに向かって攻撃してきたんだから文句は言うなよ。それにお前なら避けれると思ってやったんだ。現に致命傷は避けてるじゃねえか」


「それは申し訳ないと思いますよ。しかしそれしか方法がありませんでしたし、貴方様なら避けきれると…。

それにしても仲間相手にあの攻撃は酷いですよ…致命傷は避けられはしましたが完全には避けきれないですし、威力が凄い…」


加減しませんでしたね、とジトッと睨むファルにリドは勝ち誇ったような笑みをした。


「ばーか、そんなの最初から分かってただろ?オレを誰だと思ってんだよ」


それからリドは鋭い目になった。


「この娘に__佐奈に、手を出すな。

これは命令だ」


静かに、けれど重々しいリドの言葉。

ファルは首を縦には振らない。


「でき、ません」

掠れた声が響く。


「承服、できません。

私には役目が…。

そのためには、この娘を…!」

体中ボロボロなのに、ファルの目はギラギラと負の感情に飲まれて不気味に光っている。

綺麗な水色なのに、とても怖く感じた。
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