悪魔の封印を解いちゃったので、クールな幼なじみと同居します!
「お前まだやる気か?いい加減にしろよ、お前じゃオレには勝てねえし、こんなの意味もねえだろうが馬鹿か、馬鹿になったのか?」


ファルは何も言わず、右手で支えながら怪我した左手をリドに向けた。その手には青色の光が集まり始めている。

このままじゃ、さっきまでの攻撃がまた来てしまう。

ファルは光を放った。それはまるで弾丸のように、光はいくつにも分かれてリドに向かっていく。

「こんなの効かねえって分かってるくせになんでこんな攻撃を仕掛けてくるんだよ、しかも怪我した方の手でなんてアホか。何考えてんだ」

リドはぶつぶつ言いながら両手を前にだした。

そして赤い光を集めてそれを放った瞬間、ファルは首をクイ、と動かした。

「っ、まさか、お前!」

リドの目の色が変わる。

ファルは顔色一つ変えず、息を整えていた。


「私のやるべきことはひとつだけです」


ずしり、ずしり。

不気味な音が校庭に響く。


「佐奈!」


リドが焦ったようにあたしの名前を叫ぶ。

さっきまでファルの後ろにいたマッド・ドールがあたしに向かって歩いている。

ずしり、ずしり、少し速度は遅いけど、確実に距離を詰めていく。


「私の役目を遂行するため、どんなものでも使えるものは全て使います。どんな手段でもとります」


ファルは冷たく言い放つ。

逃げなきゃ。

体中が訴えかけている。

「なにしてる、佐奈!早く逃げろ!」

リドも叫ぶ。

「分かってる!で、でも!」

恐怖で足が動かない。身体が氷になったみたいに動かない。

近づいてくるマッド・ドールを見ていることしかできない。

マッド・ドールは確実に距離を詰め、あたしとの距離は1メートルもなかった。

マッド・ドールの土でできた太い腕が、いくつもあたしに向かって伸びる。


もうダメだ。


目をつぶったその時だった。
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