悪魔の封印を解いちゃったので、クールな幼なじみと同居します!
同居、始まっちゃいました。
「…佐奈…佐奈…」
夢の中で呼ぶ声は、誰。
うっすらと目を開けると差し込んでくる光とともに、鮮明になる声。
「佐奈、遅刻するよ」
その声は、幼なじみであるアキの声。
ガバッと起き上がってあたりを見渡すといつもの部屋じゃなかった。
目の前には制服に着替えてすっかり身支度も整っているアキ。
あたしは布団を引き寄せてパジャマを隠す。
「ここ、は」
どこだっけ、と思うのと同時に、黒い猫が「寝起きの悪い娘だ」とため息を吐く。
ああ、そうか。
ここはアキの家の神社の離れ。
この黒い猫(悪魔)を祓うために、ここで寝泊まりすることになったんだった。
アキと、リドと一緒に。
「ほんと、朝弱いよね。佐奈は」
通りで寝坊するわけだ、と言いながらアキは部屋から去っていく。
「アキだって苦手なくせに」
アキはいつも無気力なやつだが、午前中はさらに無気力だ。ぼうっとしている。
「俺は朝は起きれるんだよ」とアキはむっと返した。
「今日の朝ごはん当番、代わってあげるから、晩ご飯と風呂洗いとトイレ掃除は佐奈がやってね」
「は?え、朝ごはん当番の代わりって多くない!?」
「朝は俺だって寝たいの。だけど起きて朝ごはん当番まで代わってあげようっていうのに、何、文句があるの?」
「いや…ないッス…」
睨みつけられたら逆らえなくなって、あたしは頷くしかなかった。
朝から最悪の気分だ。