悪魔の封印を解いちゃったので、クールな幼なじみと同居します!
田辺くんは「冗談だよ」とにこにこ笑う。

もうその微笑みだけで存分に癒されてしまうくらいに、彼の微笑みは優しかった。


「田辺。佐奈は『にぎやか』じゃなくて『うるさい』だよ」

間違いだよ、とアキは真顔で言う。

田辺くんは癒しだというのに、どうしてその田辺くんと同じクラスにこんな性格の悪いやつがいるんだ!


「アキ!あんたほんといい加減に…」

いい加減にして。

そう言いたかったけれど、言い切る前に司書の先生がやって来て「みんな、図書館では静かにね」と微笑んだ。

「はい…」

すいません、と謝ってあたし達は調べものを始めた。


あたし達の班がテーマに選んだのは、我が母校・天宮(あまみや)小学校。

つまり、リドが封印されていた小学校だ。

あたし達の班のメンバーはみな、天宮小学校の出身。

地元の小学校に伝わる裏歴史なんかを調べたら面白いんじゃないかって思って始めたんだけど……。


「分厚い!」


なんで学校の歴史をまとめた本ってこんなに分厚いんだ。読む気が失せる。


「まあ、歴史が古い小学校だからね」


田辺くんはクスクス笑った。

穏やかに優しく笑うところは、ちょっと朔兄ににているかもしれない。まあ、田辺くんは朔兄とは違って眼鏡をかけているのだけど。



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