悪魔の封印を解いちゃったので、クールな幼なじみと同居します!
「あ、なんでオレ様がここにいるんだう?って言いたそうなアホな顔してるー」


楽しそうな表情をしてあたしに近づくリド。


「佐奈ってホンットーにアホな顔をすんだな」


こんなときですら、リドはあたしを馬鹿にしてくるらしい。最悪な性格の持ち主だ。

あたしは声が出ない代わりにリドを睨み付けていた。本当にこいつ、ことごとくむかつく。

いいからさっさと魔法を解けっつーの!


「あーハイハイ、分かった分かった」


しょうがねぇな、とリドはなぜか上から目線でぶつぶつと呪文らしき言葉を唱えた。

すると喉を蓋していたような喉のつかえがすうっとなくなって呼吸が楽になった。


「あんたねぇ!いきなり何してくれるのよ!」

ここが図書館だということもあり、もう怒られるのも嫌なので、できるだけ小さな声で怒鳴る。

するとリドは「なに怒ってんだよ」とまるでサーカスのピエロを見るような愉快な顔をした。


「佐奈が大声を出しそうだったから止めてやっただけだ。それにオレのおかげで佐奈はまた誰かにうるさいって言われずに済んだんだから、むしろオレ様に感謝するべきだよなあ?」


リドは得意そうな顔で、不敵の笑みを浮かべて、余裕たっぷりな口調で、ペラペラペラペラ、次から次へと言葉を紡ぐ。


「それに佐奈はしもべのくせに、主人であるこのオレ様に向かって忠義を誓うどころか悪態をついてばかり。あーほんとオレ様みたいな心の広い優しい者じゃなかったらとっくに魂喰ってしまってただろうな。あーやっぱオレって心優しい最強悪魔だな!」


ああ、誰でもいい。

誰かこいつの口を塞いでくれ。

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