悪魔の封印を解いちゃったので、クールな幼なじみと同居します!
ああ、もう見ていられない。

化け物の危機が迫るのに、それに乗っかる形でアキにハラハラして心臓が持たない。


「どーでもいいんだよ」


リドも苛立っている様子で言った。


「関係ねえんだよ、お前らのことなんて。例えコレに喰われようが、殺されようが、オレの知ったことか」

「…この怪物を倒したら、次はお前だ。
お前を必ず佐奈から引き離して、これ以上にないくらいの痛みを伴う方法で消してやる」

「だから前も言ったよな? お前ごときに倒されるような俺様じゃ…」


リドが言い切る前に、化け物は唸り声をあげ、大きく身をよじった。

ブチ、ブチ、メキ、メリ。

植物が千切れる音と怪物の叫び声が辺りに響く。

怪物は叫び声をあげ、怒りに狂った形相で、大きなその口を開けた。

丸のみにしてやるぞ、と言わんばかりに。


それから田辺くんが「やれ」と冷たい温度の声でそう言い放つ。

怪物はその命令を受け取ったのか、怪物は大きな口を開けたままあたしに近づいてくる。


「佐奈!」


叫ぶアキの声が聞こえる。

逃げろ、とあたしの本能も叫んでいる。

けれど今はもう、この怪物が怖くて目を離せないし、足も動かない。

動けない。

< 52 / 243 >

この作品をシェア

pagetop