悪魔の封印を解いちゃったので、クールな幼なじみと同居します!
やがて光が消えて目を開けると、怪物はどこにもいなかった。

まさか、夢?

そうは思ってみたけれど、崩れた本棚が、散らばる本が、さっきまでここに怪物がいたことを証明している。


「佐奈、無事?」


はっきりと聞こえたアキの声に当たりを見渡す。

アキの姿はすぐに見つかった。


「アキ!」


アキはほっとした表情をしていた。


「アキこそ、大丈夫?」

「俺は大丈夫だけど、まあ、図書館はひどいありさまだよね」


溜息を吐き出して視線を逸らした。

見るも無残に崩れた本棚や本に心が痛む。


「おい、リド」


アキは視線を逸らしたままリドの名を呼んだ。

リドは散らばる本の隙間からそっと姿を現した。


見つめあう両者、ピリピリとした雰囲気。

それを壊したのはアキだった。


「感謝する」


あたしとリドは目を見開いた。

まさかアキが、リドのことをその存在から忌み嫌っているはずのアキが、そのリドに感謝の言葉を述べるなんて想像すらできなかった。


「倒し方を教えてくれたおかげで、佐奈を守れた。だからそのことだけは感謝する。

お前を絶対に祓って封印することは変わらないけど」


するとリドはククと小さく笑った。


「ホント、お前ら人間はバカだな。

なんで敵だと思うやつに感謝なんかするんだよ。しかもオレ様みたいな悪魔に」


「まあいいけど?」とリドは声を張り上げた。


「このままオレ様を尊敬してくれても」

「うっざ、絶対しない。今回は例外だ」

アキは即答だった。
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