悪魔の封印を解いちゃったので、クールな幼なじみと同居します!
包丁を置いて咄嗟に痛む手を見ると、左手の人差し指に血がにじんでいる。
本当に、ばかだ、あたし。
何やってるんだろう。
情けなくて、痛くて、ため息を吐いた。
するとアキがあたしの左手首を掴んで引っ張った。
「ちょ、アキ?」
いきなりどうしたの、と声をかけるよりも先に「バカ、何やってんの!」とアキは叫んだ。
「あ、の」
「とりあえず手当するよ」
アキはあたしの意見なんて全く聞く様子もなく、手を軽く洗い流すとテレビが置いてある部屋に連れて行った。
「そこ座ってて。今救急箱持ってくるから」
指示されるまま、座布団の上に座る。
まだ血は止まらない。
「血の匂いがすると思ったら、佐奈か」
後ろにあるドアの近くで声が聞こえたと思ったら、案の定リドだった。
「…なんか用」
不機嫌丸出しでそう尋ねれば「怒った顔するなよ」と言いながらあたしの目の前にくるとしゃがみこんだ。
「ちょ、近い!」
あと5cmでくっついてしまいそうになるくらいの近さに、リドの整った顔がある。
男の子とこんなに近い距離になったことなんてないからか、心臓が変な音を鳴らし始めた。
どこに視線をやればいいのか分からなくなって、あたしは電源のついていないテレビの方を見ていた。
「…刃物で切ったような傷だな」
リドはあたしの左手を持ちながら答えた。