悪魔の封印を解いちゃったので、クールな幼なじみと同居します!

包丁を置いて咄嗟に痛む手を見ると、左手の人差し指に血がにじんでいる。


本当に、ばかだ、あたし。

何やってるんだろう。

情けなくて、痛くて、ため息を吐いた。


するとアキがあたしの左手首を掴んで引っ張った。


「ちょ、アキ?」


いきなりどうしたの、と声をかけるよりも先に「バカ、何やってんの!」とアキは叫んだ。


「あ、の」

「とりあえず手当するよ」


アキはあたしの意見なんて全く聞く様子もなく、手を軽く洗い流すとテレビが置いてある部屋に連れて行った。


「そこ座ってて。今救急箱持ってくるから」


指示されるまま、座布団の上に座る。

まだ血は止まらない。


「血の匂いがすると思ったら、佐奈か」


後ろにあるドアの近くで声が聞こえたと思ったら、案の定リドだった。


「…なんか用」


不機嫌丸出しでそう尋ねれば「怒った顔するなよ」と言いながらあたしの目の前にくるとしゃがみこんだ。


「ちょ、近い!」


あと5cmでくっついてしまいそうになるくらいの近さに、リドの整った顔がある。

男の子とこんなに近い距離になったことなんてないからか、心臓が変な音を鳴らし始めた。

どこに視線をやればいいのか分からなくなって、あたしは電源のついていないテレビの方を見ていた。


「…刃物で切ったような傷だな」

リドはあたしの左手を持ちながら答えた。

< 63 / 243 >

この作品をシェア

pagetop