悪魔の封印を解いちゃったので、クールな幼なじみと同居します!
「ああ、うん。包丁でちょっとね」

「ふーん」

リドは何がそんなに面白いのか分からないがあたしの手をまじまじと見つめている。


「血、止まってねえな」


傷口付近をゆっくりと押しながら、リドは言う。


「そ、うだね」


押されて傷口が痛むし、リドが近いし、もう何がなんだか分からなくなって思考がこんがらがりそうだ。

次の瞬間、リドの方に手が引っ張られたかと思うと怪我した指が柔らかい温かさに包まれた。

何が起こったのかと思って顔をリドの方に向けると、あたしは絶句した。


「は…!?」


リドがあたしの指をくわえていた。


「ちょっ、な…な…な…!」


何やってんだ、離せって叫びたいのに、驚きのせいで叫び声が出ない。

驚きすぎて体がこわばって動かない。

カアア、と体温が急上昇する。

あたしの様子に気づいたらしいリドが口から手を離した。


「何真っ赤な顔になってんの?」


そんなことを言われてさらに温度は急上昇する。まるで血液が沸騰しているんじゃないかと思うほどに。


「ばっ、ばかにしないで!」


罵ったところで効果はゼロだった。

ゼロどころかマイナスだった。

リドはそんなたしを見て、楽しそうにニヤリと口元をゆがめたのだ。

楽しいオモチャを見つけた、とでも言いたそうに瞳を輝かせて。


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