悪魔の封印を解いちゃったので、クールな幼なじみと同居します!
「それって、子どもってこと?」
あたしは少しムッとしてお茶をすすった。
「あちっ」
これ、熱すぎでしょ、舌ヤケドしたわ。
するとお母さんはそんなあたしを見てクスクス笑って「そうね」と答えると優雅にお茶をすする。
猫舌のあたしには飲むのが厳しい温度で、しばらく冷ます他方法はなかった。
アキは何をしているかと思えば、チョコばっかり食べていた。それも、甘いミルクチョコレート。
「アキ、ほんとミルクチョコ好きだね」
アキは「おいしいから」と真顔で頷く。
変わらないな、ほんと。
なんだかそれが懐かしくて、愛しくて、ふっと笑みがこぼれた。
いつもなら「この甘党!」「味覚がお子ちゃま!」とか文句のひとつやふたつ言ってやるところなのに、今日は何も言わなかった。
おかしいな、ほんと。
こんなにも性格が丸くなるのは実家効果か?
「それにしても佐奈、あんた不運だったわねー。悪魔と契約なんて」
急な雨でびしょ濡れになって残念だったわねー、くらいのテンションで言ってくる母。
娘が悪魔と契約しちゃったってのにテンション軽くない?結構重大事項だと思うんだけど?
「あんた昔からそうよね。おばけ系のものは見えるし、色々巻き込まれるし、なんというか__」
「巻き込まれ体質」
「そう、それ!」
「さっすがあっくん!言うこと分かるね!」と笑顔のお母さんと溜め息を吐くアキ。
さっきからあなた方の言葉のひとつひとつがグサグサ突き刺さっているのを、あなた方は分かっているのかな。