悪魔の封印を解いちゃったので、クールな幼なじみと同居します!
たしかにあたしは昔からオバケの類いのものはよく見えていた。

ひとりでぼうっとしている子がいると思って話しかけたら、他の子には見えてなかったり。

アヤカシに追いかけられたり、跡をつけられたり。

運悪くアヤカシの世界に迷いこみそうになったり。


不思議なものはたくさん出会った。


とは言っても、あたしにはアキのようなすごい力はない。

誰かを守れるような、魔法みたいな力なんてなにもない。


ただ、見えるだけ。


でもそれは、『見える』という力があるわけで。


そのせいもあってか、危険な目に遭うことも度々あった。

少しだけ力を持っているせいで、狙われて、厄介なことに巻き込まれて。

けど、その度に東條家の人達に助けてもらった。

とくにアキには、助けてもらってばっかりだ。


「でも、今回はまだ助けられてない」


アキは呟くように言った。


「佐奈のこと、助けられてない」


寄った眉間のシワは苦しそうで、悔しそうだった。

アキがこんな表情を見せるなんて、思いもしなかった。

そんな顔をしてほしくなくて、あたしは何か言いたかった。

でも、『そんなの気にしないで』なんて言ったら、きっとアキは怒るだろう。

だからもう、なんて声をかけたらいいのか分からなかった。
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