悪魔の封印を解いちゃったので、クールな幼なじみと同居します!


それからアキはいてもたってもいられないという様子で足早に帰っていった。

朔兄もアキのあとを追うように、「お騒がせしました」とお母さんに頭を下げて帰っていく。

お母さんは「またいつでもいらっしゃいよ」と走り去る彼らの後ろ姿に叫び、二人の姿が遠くなるのを姉妹で見送っていた。


「ほんと、兄弟なのに全然違うよね、あの二人」


あたしは帰り際の二人の様子を思い出して溜め息を吐いた。

朔兄はあんなに礼儀正しいのにと言うあたしに、「そうかな」とお姉ちゃんは首を傾げる。


「私はあっくんも礼儀正しいと思うけどなー。お兄ちゃんそっくり。きっとさっくんに憧れてるんだろうな」


お姉ちゃんは朔兄が走っていった方向をおだやかに見つめる。

あたしはその顔を見つめながら「朔兄に憧れるといえばさー」となんでもないことのように話を振った。


「お姉ちゃんは朔兄に告白しないの?」

「ええっ!?」


お姉ちゃんは目を見開いて大声で叫ぶのと同時に、頬を赤く染めていった。

それからあたしに顔を近づけて、「し、ししし、知ってたの!?」と小声で問う。

あれだけ仲睦まじい雰囲気を醸し出しておいて、二人の気持ちに気づかない方がおかしいと思うんだけど。

というかお姉ちゃんは今までバレてなかったと思っていたのか。なんて鈍感。さすが我が姉上。


「知ってたよ。ずっと前から」


するとお姉ちゃんはさらに顔を赤くした。

まるでリンゴのような愛らしい赤。

可愛いというよりは美しい顔立ちのお姉ちゃんだけど、今はものすごく可愛く見える。朔兄に見せてやりたい。

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