悪魔の封印を解いちゃったので、クールな幼なじみと同居します!
あたしは自分の両腕を両手でさすった。


それを見たリドは「だいじょーぶ」と笑った。



「あいつもオレも、佐奈を連れて行かせたりしねえから」



それはいつもの威圧的な、挑発的な、不敵な、そんな笑みではななかった。


まるで花を愛でるような笑顔だった。


あたしは魔法にかかったみたいにリドから視線が逸らせなかった。

心臓はリドの魔法かなにかで可笑しくなったのか、急に心速度をあげて、大きな音で鼓動している。

それに、少し戸惑っていた。

だって、あのリドが、俺様悪魔が、こんなに柔らかい笑顔を、温かい微笑みを、こんな表情をするなんて、夢にも思わなかったんだ。


「あれ」とリドは声を出した。


「顔が真っ赤だけど、どうした?」


にやり、笑う顔は、いつもの不敵な笑み。


「違う!」


大声で否定した。


「赤くない!」

「いや赤いだろ。鏡見てみろ」


リンゴみてえ、とリドは言う。


「なに、熱でもだしたわけ?」


リドは手で熱を測ろうとしているのか、おもむろにあたしに近づく。

思わず反射的に後ろに下がる。

そんなあたしを見てリドは、少し不機嫌そうな顔をした。


「逃げなくてもいいだろ?べつに佐奈を喰うわけじゃねえんだから」

「喰う!?」


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