悪魔の封印を解いちゃったので、クールな幼なじみと同居します!
素っ頓狂な声が出た。

リドの発言もあって、余計に顔の温度が上昇する。


「ああ、佐奈の魂を喰うつもりはねえよ」


その言葉を聞いてあたしは自分が情けなくなった。


そうだよ、この目の前にいる美少年は、ただの美少年じゃない。

学校に封印されていた、俺様悪魔のリドだ。

そんなやつが人間に対して『喰う』と言ったら、その意味は『魂を喰らう』が妥当だろう。

動揺して何を勘違いしてるんだ、あたし。

そんなことに考えを巡らせていると、リドがあたしの腕を引っ張った。


「うわ!」


気が付いたらリドの腕の中にいた。


「は!?」


「色気もへったくれもねーな。男に抱きしめられてるんだから、『キャアッ』くらいの可愛い声出せねーの?」


「キャアッ」の部分だけ声を裏返すリドは呆れ顔だ。


「す…すいませんね!どうせあたしは色気もなければ可愛くもないですよ!っていうか離れてよ!」


しかしリドはあたしのことなど一切聞いてないらしく、あたしの前髪を左右に分けた。

その優しい手に、変に心臓が大きな音を立てた。

…リドから、目を離せない。


「まあ、佐奈らしいけど」


それからあたしのおでこに自分のおでこを重ねた。


目を閉じたリドの顔が、至近距離にある。

あたしは目を見開いていた。

驚きすぎて声も出せず、身体も凍りついたみたいに動けない。


「…熱はねえな」


目を開いたリドが、あたしを見つめる。

「良かった」なんて優しく笑うから、文句を言おうとしたのに引っ込んでしまった。

何を言っていいのか分からずどもってしまう。


「なっ、なにして…」


「なにしてるの」


声が聞こえて振り返ると、そこにいたのは。


「あ、アキ…」


あからさまに不機嫌な顔をしたアキだった。


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