悪魔の封印を解いちゃったので、クールな幼なじみと同居します!
「ほら、探しに行かなくてよかっただろ?」

リドは少し憂いを浮かべたような、なんとも言えない表情をした。

その表情からはリドが何を考えてるのかさっぱり分からない。なんとか読み取りたくてリドの顔をじっと見ていると、アキは「ちょっと」と強めの口調で声をかける。


「なに話してるか知らないけど、早く佐奈から離れてくれる?」


アキはツカツカとあたしとリドに近づくと、背後からあたしの首に左手を回して抱き寄せる。

右手であたしを抱き締めていたリドの腕を掴み、あたしから離した。

片方の腕はまだあたしの肩に触れている。


「なんだよ、お前いつになく気が立ってるなあ?」

そんな短気なやつだったっけ、とばかにするような口調でリドはアキを挑発する。


「別に。関係ないでしょ」


アキの表情は分からない。

だけどあたしを抱き寄せる腕の力や言葉の鋭さはいつもと違っていて、リドの言うとおりなのかもしれない。

というか、アキってこんな体温高かったっけ?

リドは「ふーん」と言うとあたしからパッと離れた。それは何かが分かったような、答えを知ったいたずらっ子のような顔をしている。


「まあ、とにかく。夜中に一人歩きはいけませんよ、おじょーさん」


じゃあねー、とリドはそれだけ言うと、ボンッと現れた黒煙とともに姿を消した。


「…佐奈、こんな暗いのに一人でどこか行こうとしたの?」


アキはそのままの体勢でそんなことを聞いてくる。

耳元でささやかれる言葉に、鼓動はどんどん早くなる。

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