悪魔の封印を解いちゃったので、クールな幼なじみと同居します!


「ばかでしょ」


朔兄が帰った後、二人きりの部屋。

アキの枕元に座りながら、あたしは呟いた。


バカ。

アキはバカだ、大バカだ。

なにが、『悪魔を封印するための方法を探してる』だ。

それで身体を壊したら元も子もないじゃないか。

それをいちばん知ってるのはアキでしょうが。

いつもあたしが無茶しようとしたら、そう言ってアキが怒るんでしょうが。

全く、何をしてるの、バカ。


するとアキは薄っすらと目を開けた。


「アキ!」

「ん、佐奈…あれ…俺…」


慌てて身体を起こそうとしたアキを止める。


「まだ寝てなきゃ!熱出てるんだよ!」


「でも…」とまだ抵抗するアキに「いーから!」とあたしは怒鳴るように大きな声をだした。


「病人は寝てて!まだ熱下がってないんだから!」


あたしの剣幕に負けたのか、アキはおとなしく布団にもぐった。最初からおとなしくそうしていればよかったものを。やっぱりアキはどこか変なところで頑固だ。


「晩ご飯は食べた?」

「いや…」


返答してくれたけど、やっぱり苦しそうな声だ。少し掠れている。


「おなか減ってる?おかゆでも作ってあげようか?」


するとアキは少し間を開けて、それからこんなことを言った。


「佐奈、おかゆとか作れるの…?失敗しそう…」

「作れるわ!失敗もしないし!いつもごはん当番のときに作って知ってるでしょうが!」


こんな時でさえ憎まれ口は減らないようだ。どうやらアキはどこまでもあたしに対抗するらしかった。
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