悪魔の封印を解いちゃったので、クールな幼なじみと同居します!
アキはフッと目を細めて笑った。


「うそ」


その笑い方が儚くて、胸がぎゅっと締め付けられる。


「作ったら、食べてくれる…?」

「ん」


作ってほしい、とアキは目を閉じたまま答えた。


「卵粥がいいな…」

「分かった」


待ってて、と言い残してあたしはキッチンに向かった。


待ってて、と言ったものの、ちょっとだけ不安だった。

お粥を作るのは初めてだったから。

でも、できるだけ丁寧に、頭をフル回転させて、どうにかできたお粥は決してまずくはなかった。

大丈夫、これはきっと成功だと言える。


ちょっと緊張しながらアキのもとに持っていくと、アキは「おお」とよく分からない歓声をあげた。


「作ったよ」

「ありがと…」


ふっと柔らかく儚げに笑ったアキは身体を起こした。


「起きて大丈夫なの?」

「大丈夫」


それからあたしが作ったお粥を「おいしそう」と言ってくれた。


「味は大丈夫?」

「大丈夫だってば!毒見はした!」

「毒見って…」


アキは苦笑した。


「まずくはなかった」

そこまで言って、「と、思う」と慌ててつけ加える。


「思うって何」

「あたしはそう思ったってこと」


なんだか今日のアキはよく笑う。

いつもの真顔なんか想像もできないくらいに、笑ってる。

嬉しいことなのに、なんだか怖くなる。

あまりに優しい微笑みだから、ここからいなくなってしまうんじゃないかと、なんだか無性に怖くなる。
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