悪魔の封印を解いちゃったので、クールな幼なじみと同居します!
「具合は?」

「だいぶ良くなったよ」


微笑むアキは決して儚くはなかった。

それだけでほっとしてしまうあたしは、やっぱりどうかしてるのかな。


「でも今日は1日ゆっくりしててね」

「うん。でも佐奈がうるさくてゆっくり休んでもいられないよ」

「ごめんって!」

時間がないんだって!もうすぐ出掛けるから勘弁してって!


「あ、リド。お前昨日どこに消えてたの」

「さあね?」


リドは挑発的に笑い、アキは眉間にシワを寄せる。

相変わらずこの二人の相性は最悪らしい。


「アキ、9時には朔兄が来てくれるから」


「ああ、うん」


面倒くさいと言いたそうなアキの返事。

リドは「げっ」と声をもらした。


「リド?」

「兄さんがどうかした?」

「…どうしたもこうしたもねーよ。あの人の目、すっげぇ怖いと思わねー? あいつ絶対人間じゃねーよ」


悪魔が何を言ってんだ。


アキと2人で冷静に突っ込んだところでハッと時計を見ると、出発する予定だった時間から10分過ぎていた。これは集合時間に間に合いそうにない。

これはもう、二人に土下座しなきゃ。とりあえず走りながら美晴に謝罪だ。


荷物を背負うと「行ってきます!」と玄関を出る。


「行ってらっしゃい」


二人に見送られて、あたしは学校に向かった。
< 98 / 243 >

この作品をシェア

pagetop