悪魔の封印を解いちゃったので、クールな幼なじみと同居します!



走りながら学校に向かう。

途中信号に引っかかり青を待っている間、美晴に連絡した。

美晴からは「だと思った」と電話越しに溜め息を吐かれた。

怒られるかと思ったけど、最早呆れられているらしい。それはすごく残念だ。



「ごめん、なさい!」


2人の姿を見つけると、あたしは叫んだ。息も切れ切れで聞き苦しいことこの上ない。


「大丈夫だよ、最上さん」


優しく微笑んだのは、まるで天使のような田辺くん。


「佐奈、お疲れさま」


怒ることも許すこともせず、呆れるといういちばん怖い反応をしているのが、我が親友、美晴。

田辺くんは穏やかな微笑みで手まで振ってくれたが、美晴は呆れ顔で腕を組むと溜め息を吐いた。この扱いの差、ひどくないですか。


「寝坊でもしたの?」

美晴の質問に、「違う!」と全力で否定した。

ちゃんと時間通りには起きたんだ。

…リドに起こされたけど。

でもそのあと話をはじめちゃったんだ。

リドとアキと。


「そういえば東條君は?」

まだ来ていないね、と田辺くんは辺りを見渡しながら尋ねる。

「晃は体調不良で休むみたいよ」と美晴がケータイを見ながら答えた。

「みんなに、今日行けれなくてごめん、だって」

「そうなんだ。体調不良なのは心配だね」

「大丈夫かな」と心配そうな顔をする田辺くんに、「大丈夫だよ」とあたしは笑った。

「大分治ったみたいだから。今日は大事をとって家にいるだけだよ」

それに、とあたしは笑った。


「アキのことだもん。大丈夫」


すると田辺くんは一瞬キョトンとしたけど、眉を下げて柔らかく笑った。


「最上さんが言うなら、大丈夫だね」

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