ワガママなKiss【短編】
わずか数秒間の沈黙が、やけに長く感じられる。
「あの、さ…流衣。」
「何だよ?」
「陽とさ、けんかしてんの?」
「は?」
その一言で流衣の表情が一変する。
「なんか、何日か前から一緒にいるとこ見てないから…」
「……。」
「余計なお世話かもしれないけど、早く仲直りしなよ!」
「湖都には関係ねぇだろ。」
「そうかもしれないけど…意地ばっかはってたら後悔するよ?」
「……。」
「だから早く仲直りしなきゃ。ねっ?」
湖都はそう言って流衣に笑いかけると、再び窓の外へと目を動かす。
「じゃあ、聞くけど。」