You donot have other than(貴方以外ない。)
Ⅴ•••

瑛斗···過去


乃愛の家の隣に引っ越してから
ずっと、乃愛が好きだった。

やっと、高校の二年の時に
告白して付合い始めた。

俺は、乃愛が大好きで
愛しくて堪らなかった。
乃愛も俺を愛してくれていた。

俺も乃愛も乃愛の親友の由姫も
頭はよくて、よく競っていた。
毎日が楽しくて幸せだった。

だが、俺は親父の引いたレールの上を
歩かされる事に嫌気を感じていた。

大学入ると
親父の縛りは、
一層に酷くなり乃愛との婚約
乃愛との結婚も決められて
半端なく、それが嫌だった。

そんなときに、女が近づいてきて
俺は、その女を利用した。

乃愛は、由姫と旅行に行くと
言っていたから
俺のマンションにその女を
つれてきた。

乃愛とは違う
女の唇に酔いしれていたら
寝室のドアがあき
乃愛が入ってきた。

乃愛は、旅行用のキャリーを
俺の家に置いていて
それを取りにきた。

乃愛は、
驚きと落胆、悲しみの顔をして
「婚約は、取り消して」
と、言って出ていった。

俺も、売り言葉に買い言葉で
ああ、と答えた。

女とは、その後、白けて
女を追い出し
翌日には、なかった事にして欲しいと
話すと、文句を言っていたが
俺の耳には入ってこなかった。

だが、その女の怒りは、
俺じゃなくて乃愛に向けられて
乃愛は、その女に刺された。

俺は、親父やお袋から叱られ、
乃愛の母親の璃子さんには、失望され、
由姫からは殴られた。

俺は、愛してやまない、
乃愛を傷つけてしまった。

乃愛は、傷が深く出血も多くて
輸血がたらなくなった。

乃愛の血液型は、特殊で
この病院の先生に、同じ血液型の人がいて
その人から輸血された。

その後の大学の残り一年は、
辛く、苦しい一年間となった。

乃愛の姿を見るたびに
駆け寄りたい衝動を押え
他の男達から、声をかけられるのを
見るたびにイラつき
全ては、自分が撒いた種だけど。

大学を卒業すると
同時に海外に逃げた。
親父達の頭を冷やしてこいの
言葉と共に。

アメリカでは、
死物狂いで仕事と覚え、
毎日残業をして仕事をこなし、
休みも返上してやってきた。
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