Love Cocktail
……ズルズルですか? 私が未練たらたら?

それじゃ今後が大変だ。

一人の男性に固執しちゃうなんて大変だよ。

しかも、二十二にもなって、一人の男に告白も出来ないでどうする!?

ここは努力あるのみだよね!

妹分と飲み仲間、まずはここから撤回させて……それから玉砕した方が、絶対にスッキリする。

まぁ……少なくとも、目の前のオーナーのようにはならなくて済むと思うかな。

意を決して、座りなおした。

「オーナー!」

「ん?」

蕎麦湯を飲みながら、彼は視線だけで上げる。

でも、さすがにオーナーに好みを聞くなんて、あまりにもストレート過ぎるから……。

「えっと……。年上の男性を落とすには、どうすればいいですか?」

出来る限り元気いっぱいに言ってみた。

「え……? なんだ、失恋って訳じゃないのか?」

不思議そうにするから、力強く頷いて見せる。

「無理だと諦めてただけです!」

「あー……。諦めちゃ駄目だよ」

いやぁーそれは貴方には……絶対に言われたくないでーす。

「とりあえず、どんな男?」

平然と聞いてくる彼に、半眼になって溜め息をつく。

それを伝えられれば簡単な話だけど、もちろん伝えられるわけがないですが。

「とにかく、年上です!」

「君ね。好みをいいなさい、好みを!」

困ったようにされて今度は眉を寄せる。

「好み……ですか?」

「落とすにも落し方があるだろう。女の趣味とか、会話の好みとか」

そんな事を言われてもなぁ。
早苗さんを思い浮かべながら首を傾げる。

きっと彼女が好みなんだろうけど……。

「長い髪……ですかね。ストレートの」

「どんなタイプ?」

「そうですね。スレンダーな美女タイプでしょうか」

「ほっそり知的な?」

オーナーの言葉に、目を細める。
彼も早苗さんを思い浮かべているのかもしれない。

今までお店に連れて来ていたのは、髪の長いとてもほっそりした……。

だけど、あまり知的とは言い難い……モデルのような綺麗な人で。

どちらかと言うと、見え透いたおバカさんが多かったけど。

早苗さんは明らかに今までとは違うタイプなんですよね。

オーナー……だから、惹かれたんだろうか?

「……髪がサラサラで、知性的で、美人さんで、お酒の弱い方が好みです」
< 10 / 112 >

この作品をシェア

pagetop