Love Cocktail
オマケ

ちょいとオマケページ

***



 同棲を初めてしばらく経った。

「お前は。どうして上達しないんだ?」

 世にも悲しげな顔をしているオーナーに、こちらも悲しい顔を返す。

 今日も失敗した。筑前煮として作ったはずの物体は、甘ったるく黒々としてる。

 甘党だから砂糖が多い方がいいかな、とか。甘くなり過ぎたから醤油を足して煮詰めたら……。


 人参さんまで、色が妙な感じになっちゃったね~!


「だからぁ。私には料理の才能はないんですってぇ!」

 毎日毎日、何か一品くらい作れって言うけど、その一品が問題なんだから!

「……盛り付けの才能はあるくせにな」

「一言よけいって言いますけどぉ?」

 睨みながら言うと、軽く苦笑される。

「……ま、いいか」

 やっと諦めてくれた?

「俺が一生食わせればいい訳だし」


 そうそう! オーナーが作ってくれれ……ば?


 一生?


 ポカンとして彼を見ると、何となく俯きながら無言でお味噌汁を飲んでいる。

「わ~い?」

 首を傾げながら両手を上げると、俯いていた彼がクスクス笑いながらお椀を置いた。

「何だ、こんな台詞でプロポーズ受けてくれるのか?」

「嫌です」

 毎日のように繰り返されるプロポーズ。

 どうして、決定的な言葉は避けて言うのか、妙に回りくどいって言うか……奇妙に遠回りって言うのか。

 シンプルでいいのに。


「……愛してるから、結婚しよう」


 そうそう、そんな風に……。


「ぇえ!?」


 ビックリしてオーナーを見ると、真っ赤になりながらも、ちゃんと真剣に私を見ていた。


「……そんな吉岡も好きだよ。困る時も多いが」

「…………」


 ぇえ~と……


「妙に回りくどい、からだな」

「…………」


 あ……ははは……


「悪かったな」

「……い、いいえ」

「それで、返事は?」

「……はい」

 そう言ったら、オーナーは優しく微笑んだ。

「じゃ、まずはお前の家族に挨拶しないとな」

「う、うん」

 そう言ってから、オーナーはまたお味噌汁を飲む。


 この癖は、やっぱり直した方がいい……かも。



□ ■ □ ■

Love Cocktail
苺と裕。

2010.4/15から、旧サイト拍手お礼として掲載。

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