Love Cocktail
それこそ小六になる頃には、ジュースでシェーカーを振っていたんですよー。
「実家? 吉岡さんはこっちの人じゃないんだ?」
「はい。実家は札幌なんです!」
赤城君は驚いたように伝票から顔を上げた。
「え……牛飼ってるの?」
頭の中で、白黒牛さんのホルスタインが『モォォ~』と鳴いていた。
「ええと……どれだけ田舎だと思ってますか?」
そりゃH大にある農産科だの畜産科だの、大学のテリトリーにはいるかも知れない。
中心街から車を一時間くらい走らせれば、たぶん畑もあるし牛もいる。
だけど、どうしてバーをやってる実家で牛を飼わなきゃいけない?
「あ、飼ってないんだ。なんか北海道って言ったら、広い草原とジャガ芋と牛ってイメージがあって……」
「北キツネと、まりものキャラクターのイメージもありますね。今はなんだろう、狂暴そうな熊のゆるくないゆるキャラですか?」
「ほら何十年か前に、なんとかの国からってドラマやってたじゃない。そんなイメージだよ」
「それは富良野ですからぁ」
しかも、私が生まれる前の古いドラマですね。
そんな話をしながらテキパキとカクテルを作りつつ溜め息をつく。
こっちの人の北海道のイメージはそれなのかな?
「いや。ごめん。僕は生まれてここから出たことないし。北海道って行ったことがなくて」
「そうなんですかぁ」
「うん。考えてみれば、北海道は本当に広いもんね」
「あー……。そうですね。ここで生まれ育った人だと、車やJRで簡単に他県に行けるんですもんねぇ!」
高校卒業してこっちに出て来て、当たり前にそれが驚いた。
北海道生まれの北海道育ちにしてみたら、他県に行くには海を渡らないといけない。
札幌生まれの私だと、JRで他県に向かうには特急で四時間くらい、青函トンネルを使って三十分。それでやっと他県に行ける。
新幹線も使えばもっと早いかもしれないけど、あいにく使ったことはないし。
「富良野と札幌だったら、どれくらいの感覚で遠いのかな?」
赤城君に言われて、首を傾げて眉を寄せる。
どれくらいって、言われても車の免許もないし。わざわざ富良野まで行く用事もなかったし。
「うーん。解らないです」
「あ、そうなの?」
「私も富良野って行ったことないですし。とりあえず、札幌はあそこまでのどかじゃないですぅ」
「ああ。それくらいの感覚で遠いとこなんだね」
「そですね~。私は地元で旅行とかあまり行かなかったし」
「え。またなんで?」
「実家? 吉岡さんはこっちの人じゃないんだ?」
「はい。実家は札幌なんです!」
赤城君は驚いたように伝票から顔を上げた。
「え……牛飼ってるの?」
頭の中で、白黒牛さんのホルスタインが『モォォ~』と鳴いていた。
「ええと……どれだけ田舎だと思ってますか?」
そりゃH大にある農産科だの畜産科だの、大学のテリトリーにはいるかも知れない。
中心街から車を一時間くらい走らせれば、たぶん畑もあるし牛もいる。
だけど、どうしてバーをやってる実家で牛を飼わなきゃいけない?
「あ、飼ってないんだ。なんか北海道って言ったら、広い草原とジャガ芋と牛ってイメージがあって……」
「北キツネと、まりものキャラクターのイメージもありますね。今はなんだろう、狂暴そうな熊のゆるくないゆるキャラですか?」
「ほら何十年か前に、なんとかの国からってドラマやってたじゃない。そんなイメージだよ」
「それは富良野ですからぁ」
しかも、私が生まれる前の古いドラマですね。
そんな話をしながらテキパキとカクテルを作りつつ溜め息をつく。
こっちの人の北海道のイメージはそれなのかな?
「いや。ごめん。僕は生まれてここから出たことないし。北海道って行ったことがなくて」
「そうなんですかぁ」
「うん。考えてみれば、北海道は本当に広いもんね」
「あー……。そうですね。ここで生まれ育った人だと、車やJRで簡単に他県に行けるんですもんねぇ!」
高校卒業してこっちに出て来て、当たり前にそれが驚いた。
北海道生まれの北海道育ちにしてみたら、他県に行くには海を渡らないといけない。
札幌生まれの私だと、JRで他県に向かうには特急で四時間くらい、青函トンネルを使って三十分。それでやっと他県に行ける。
新幹線も使えばもっと早いかもしれないけど、あいにく使ったことはないし。
「富良野と札幌だったら、どれくらいの感覚で遠いのかな?」
赤城君に言われて、首を傾げて眉を寄せる。
どれくらいって、言われても車の免許もないし。わざわざ富良野まで行く用事もなかったし。
「うーん。解らないです」
「あ、そうなの?」
「私も富良野って行ったことないですし。とりあえず、札幌はあそこまでのどかじゃないですぅ」
「ああ。それくらいの感覚で遠いとこなんだね」
「そですね~。私は地元で旅行とかあまり行かなかったし」
「え。またなんで?」