Love Cocktail
第二章
Fantastic leman
*****
翌日、朝10時を狙って、桐生氏のスマホに電話をする。
『……もしもし』
とてつもなく低い声に、一瞬だけ躊躇したけど……でも、このまま切ったらただのイタ電だ。
「あ。桐生様ですか? 吉岡ですけど!」
電話の向こうで、ちょっと笑う気配がする。
『ごめんね。昨日飲み過ぎて、声が低いから恐かったでしょ?』
この人は察しが良すぎやしませんか? 思わず遠い目をしちゃいそうなんですけど。
『それに“様”はいらないからね』
「え……いや。その」
桐生氏は桐生氏ですし。
いきなりオーナーみたいに隆幸とは呼べるはずもなく……。
私がそんな風に呼ぶはずがないんだけど、呼んだとしたらとてもおかしなことになる。
『今はプライベートで、僕は君の店のお客じゃないんだし。あ……叩かれたから、電話替わるね』
早苗さん。もしかして桐生氏を叩きましたか……。
『もしもし。吉岡さん?』
少しの間の後、早苗さんの落ち着いた綺麗な声が聞こえてきた。
「あ、はい! 吉岡です」
『ごめんね。最近の隆幸さんは、外と中とを区別したがりやなんです』
いきなり何の話ですか?
「外と中?」
『仕事中とプライベート』
「ああ! 解る気がしますね!」
とても納得。
お店で見る桐生氏は、お客様然……って感じだけど、お食事会の時はちょっとフランクな感じだった。
オンとオフ切り替え派ってことですね!
『それで……今日はお暇ですか?』
「はい! 暇です!」
力強く言うことではないんでしょうが!
『では一緒にお買い物をしましょう。可愛い服屋さん見つけたから、吉岡さんにどうかと思っていて……』
うーん。可愛い服屋さんですか。
でも今月オーナーのせいで結構散財しちゃっているんですよねー。
「高いお店は無理ですぅ」
『隆幸さんや一条さんじゃないんですから。それなりの値段で折り合いをつけましょうよ』
その言葉に思わず吹きだしてしまった。
早苗さんの声は呆れるというか諦めてるというか、そんな感じに響いてきたから余計に可笑しい。
翌日、朝10時を狙って、桐生氏のスマホに電話をする。
『……もしもし』
とてつもなく低い声に、一瞬だけ躊躇したけど……でも、このまま切ったらただのイタ電だ。
「あ。桐生様ですか? 吉岡ですけど!」
電話の向こうで、ちょっと笑う気配がする。
『ごめんね。昨日飲み過ぎて、声が低いから恐かったでしょ?』
この人は察しが良すぎやしませんか? 思わず遠い目をしちゃいそうなんですけど。
『それに“様”はいらないからね』
「え……いや。その」
桐生氏は桐生氏ですし。
いきなりオーナーみたいに隆幸とは呼べるはずもなく……。
私がそんな風に呼ぶはずがないんだけど、呼んだとしたらとてもおかしなことになる。
『今はプライベートで、僕は君の店のお客じゃないんだし。あ……叩かれたから、電話替わるね』
早苗さん。もしかして桐生氏を叩きましたか……。
『もしもし。吉岡さん?』
少しの間の後、早苗さんの落ち着いた綺麗な声が聞こえてきた。
「あ、はい! 吉岡です」
『ごめんね。最近の隆幸さんは、外と中とを区別したがりやなんです』
いきなり何の話ですか?
「外と中?」
『仕事中とプライベート』
「ああ! 解る気がしますね!」
とても納得。
お店で見る桐生氏は、お客様然……って感じだけど、お食事会の時はちょっとフランクな感じだった。
オンとオフ切り替え派ってことですね!
『それで……今日はお暇ですか?』
「はい! 暇です!」
力強く言うことではないんでしょうが!
『では一緒にお買い物をしましょう。可愛い服屋さん見つけたから、吉岡さんにどうかと思っていて……』
うーん。可愛い服屋さんですか。
でも今月オーナーのせいで結構散財しちゃっているんですよねー。
「高いお店は無理ですぅ」
『隆幸さんや一条さんじゃないんですから。それなりの値段で折り合いをつけましょうよ』
その言葉に思わず吹きだしてしまった。
早苗さんの声は呆れるというか諦めてるというか、そんな感じに響いてきたから余計に可笑しい。