Love Cocktail
「ならOKです!」

『ありがとう。私も若い子の意見も聞きたいし』

「あ。早苗さんは、何を買いたいんですか?」

『……今は……ちょっと』

ピン! ときた。桐生氏の誕生日がって、オーナーが前に言っていた様な気がする。

「ハッピーバースデーですか?」

『その通りです』

「じゃあ、プレゼント選びなんですね!」

いいなぁ。そういうのってウキウキして楽しいですよねー。

『迷っていて……日にちもないし』

「いつなんですか?」

小さな声が聞こえた。

『……木曜日』

木曜日って……もしかして今週の?

それは大変だ。

逆にどうして今頃まで放っておいたのと聞きたいところだけど、それは言っても始まらない。

「解りました。頑張りましょう」

真剣に言って、待ち合わせ場所と時間を決めて携帯を切った。

シャワーを浴びて歯磨きを済ませ、軽くお化粧をする。とりあえずパイプハンガーの服を眺め、それから外のお天気を眺める。

やや風が強くて木を揺らしているけど、空は晴れていた。

残暑が続くとは言ってたけど、気温は涼しい感じだから長袖がいいかも。

白のシフォンプルオーバーにツイードのショートパンツ。それからざっくり編みのニットカーデガン。これに編み上げのブーツ。

くるくる髪の毛は手櫛でポニーテールにして、これでいいかな?

再度、鏡を見て化粧直しは必要ないと判断。

オーナーから買ってもらったバックを持って部屋を出た。





***


そして、待ち合わせ場所に二十分前に着くとスマホを眺める。

暇なので、隣に立っていたお姉さんの服装に注目してみた。

ベリー色のカシュクールのアンサンブルに黒のミニスカート。なかなか可愛いかも。

目が合って、お互いに愛想笑い。

じろじろ見ていたのがバレたみたいでちょっと恥ずかしい。

「吉岡さん」

呼ばれて振り返った。

ちょっと小走りで、こちらに向かってくる早苗さんの姿を見つけて、やっぱり服装チェックしてしまう。

七分袖のベージュのジャケットにキャメルのスカート。

さすが、お姉様!
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